私たちは大気、海洋を著しく汚染してきました。
人類が犯した余りにも大きな過失であり、もはや復元の為にどこから手を付けてよいか解らない程深刻な状況です。
気候変動への国際的な取り組みが本格化したのは30年くらい前からです。
京都議定書が話し合われたのが、その頃。温室効果ガス排出国世界一は中国。しかしアメリカのトランプ氏がパリ議定書から離脱した時はアメリカの温室効果ガス排出量が反転して3~4%増加しました。
国のトップが変わると恐ろしい事になります。
トップ次第だという事です。
今年2023年世界で猛威を振るった熱波は7月4日、12万5000年間で一番暑い日になりました。
アメリカ | 25日連続43.3度超 デスバレー54度 |
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中国 | ウイグル自治区52.2度 |
イタリア | 41.8度(過去最高) |
メキシコ北西部 | 49度 |
スペイン | 40度超 |
南極大陸 | 7月に史上最高気温 8.7度を観測 etc... |
11月ロシアの黒海沿岸100年に一度の暴風雪。
にも拘わらず黒海の海水温は最大6度も高い。
ケニアとソマリアで100年に一度の大洪水。
(75万人が家を失う)
南極は11月23日眠れる巨人と呼ばれていたA23a氷山が30年ぶりに移動しました。
(氷の厚さが薄くなり、多くの浮力を得て海底から浮き上がった)
北極圏では世界平均の温暖化の3倍〜4倍の速さで平均温度が上昇しています。
COP28がアラブ首長国連邦で11月に始まりました。
2015年パリ議定書で産業革命前と比べ1.5度に抑制すると決められていたが今年10月時点で1.4度に上昇しました。
2〜3年前までは1.15度だったものが急激に増えて来ています。
グテーレス国連事務総長はもはや地球温暖化ではなく地球沸騰化であると言っている所以です。
猛烈な火災、死に至る干ばつ、最も暑い一年でした。
しかし今年の夏が一番涼しい夏になるかもしれません。
一番大きな問題は永久凍土が溶け始めたことです。
二酸化炭素を1として、牛のゲップで問題になっているメタンガスは23メタンガス1個は二酸化炭素23個分です。
永久凍土にはメタンガスの2倍の炭素が含まれています。
即ち炭素1個は二酸化炭素46個分、46倍なのです。
(2万5千年間眠っていたバクテリアが生き返る可能性もある)
永久凍土というのは、数年以上にわたって夏でも零度以下で凍結している土又は岩のことです。
グリーンランド、北極、南極がそうです。
この永久凍土が溶けると人間の力ではどうする事も出来なくなると言われています。
東シベリアでは森林火災が頻発している為、永久凍土の全てが凍りきらず、そこに溜まった地下水が噴き出た可能性があります。
国土の6割を永久凍土が占めているロシアで温暖化が深刻化しています。
ロシアによるウクライナ戦争は、ロシア連邦に制裁をもたらし国際レベルでの協力ができなくなり、その結果北極圏の永久凍土から放出されるメタンガスを測定することに悪影響を及ぼしています。
北極圏では世界平均の温暖化の3倍~4倍の速さで平均温度が上昇していると言われています。
永久凍土をはらむ温暖化加速の危険性が一番怖いのです。
最近日本の森林研究者が、日本の森林のCO2の吸収速度を計った所この10年で2.5倍吸収していることが解ったそうです。
海の吸収量と同じ位、森林は二酸化炭素を吸収して温暖化の役に立つことが証明されました。
その森林が世界で喪失しています。
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ブラジル「地球の肺」と呼ばれているアマゾンの熱帯雨林が1年間で消失
その面積は鹿児島県に匹敵する。
観測史上最悪の干ばつ被害、激しさは増しかつ頻繫に起こるようになってきている。
アマゾンという5500万年の歴史を刻んできた森にとって、人類は新参者です。その新参者がアマゾンを永遠に葬り去ろうとしている。
人間は最も豊かな森を砂漠に変えようとしている。
アマゾンの先住民族は森に敬意を払い、森の一部として暮らしている。
雨がどうやって作られるかを知っていた。
木々のない所に水はない。雨が水を作るのではない。
森が雨を生むのだと。 -
世界の森林面積の2割近くを占め、南北アマゾンと並ぶ「地球の肺」と呼ばれるロシアのシベリア極東地域で違法伐採が深刻。
(主に中国向けの密輸とみられる) -
ケニアでは森の劣化が始まっている。在来種が伐採され、代わりに雑草が侵入し天然林の再生を妨げている。(その背景には人口の増加があり、人々は森林資源に依存)
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インドネシアはパーム油の生産地。世界中でパーム油が求められている。その影響で、結果農地が切り開かれ、泥炭地という土壌が増えている。そこは20倍の炭素を含み、炭素爆弾と呼ばれている。
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ギリシャのロートス島の山火事2万人が避難。
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カナダでは5月末に発生した山火事がもえ続け約10万平方キロメートル焼失。(東北6県と関東7都県全面積に匹敵)
その他にもアルゼンチン、ブラジル、カリフォルニア、アルジェリア・・・
毎日のようにテレビで森林火災のニュースを私たちは見ています。
熱帯雨林の減少が干ばつに影響しているのです。
森林は化石燃料の使用で排出される二酸化炭素の2割、年間約2ギガトンを吸収します。
その森林が年間約500万ヘクタール消失しているのです。
それは大気中の二酸化炭素を増加させ、気候変動を加速させます。
気候変動が悪化するほど森林が消失し、気候変動はさらに悪化する。
負の連鎖です。
森林を守らないとゲームオーバーになるのです。
森は心臓です。
地球から水が無くなる日
今水不足は世界中で起きています。
水が無くなれば争いが起き、大混乱に陥ります。
アメリカ中西部の穀倉地帯を潤してきた水も消滅の危機に瀕しています。
最近の調査から熱帯雨林がなくなれば雨も降らなくなる事が解ってきました。(アマゾンの熱帯雨林の2割が永遠に失われた。)
地球上の水の内、私たちが飲むことができるのは僅か2%余り。
しかも大半は氷河などに閉じ込められていて、殆どの淡水は汚染されて飲めない。私たちが飲める水となると地球の水の0.01%だけです。
水不足の危機は全世界に広がっています。
地下水が予想をはるかに超えるスピードで減っているのです。
持続不可能になってきています。
増え続ける人口に気候変動、あるのが当たり前だと思っていた水が手に入らなくなることに人類は直面するでしょう。
アメリカの地下水は1/3が失われました。
アメリカの工業型農業が大きな原因です。
牛を一頭育てるのに毎日10分間のシャワーを130年浴びるのに等しい量の水が使われているのです。
水が枯渇したら、企業はそこから立ち去り次の土地に移るだけ。
だからアメリカの良識ある若者たちは牛肉を食べません。
フランスでは年間12億本のミネラルウオーターを生産してきた豊富なローマ時代から続いていた水源が激減。
今フランスでは地下水の減少が加速しています。
2030年には2割以上の地下水が失われるだろうと言われています。
干ばつが深刻化し、それによって土が固くなり、雨が降っても地中に浸透しなくなるのです。それが問題です。
同様の問題はインド、ブラジル、中国、メキシコ等にも広がっています。
水不足は今や全世界に広がっています。
人類の進化を可能にした環境を私たちは失いつつあります。
即ち地球上で生きていくことが出来なくなるという事です。
地球から水が無くなる日をデイゼロと言います。
その日が来るのを防がなければなりません。
自然界では全てが繋がっているのです。
水はあらゆる生物の命の源なのです。
海洋が恐るべきペースで暖かくなってきています。
国連が推定したより40%~50%速い。
それにより海面上昇、洪水、強大な嵐が起きています。
南極の氷が1979年から1989年よりも6倍速いペースで溶けています。
グリーンランドの氷も、氷が解けて海に流れる量が10年で4倍に増えました。
問題は気候変動が進んで行くと、単に自然災害が起きるとかではなく 水不足とか食料危機、インフレが加速したり、貧困が増えていくのです。
気候変動 → 水不足 → 移民が生じ → 社会不安 → 政治問題に発展。
社会の大混乱がやって来る時代がもう始まっています。
臨界点を超えると、それがドミノ倒しのように連鎖し地球の気候システムが崩壊し、人間には止められなくなります。(臨界点は1.5度)
世界の温室効果ガス排出が今の水準で続けば、6年後には、産業革命前と比べ1.5度に抑えるパリ協定の目標が不可能になる恐れがあるとイギリスの研究チームが発表しました。
即ち二酸化炭素の排出量を減らさなければ破滅への道を歩むことになるのです。
世界が協力するか、滅びるかの二者択一だと国連事務総長が言っています。
今年の世界の化石燃料によるCO2排出量は375億トン、昨年に比べて1.1%増えて過去最大の排出量になりました。
このままの状態が続けば50%の確率で2030年には1.5度を超えるでしょう。
そして今世紀末の気温は2.1~2.8度上昇します。
以上待った無しです。
緩和では間に合わないのです。
2023年COP28では2030年までに世界全体の再生可能エネルギーを発電容量3倍エネルギー効率2倍を110ヵ国が合意しました。
そして原発を使う案も出ています。
とんでもないことです。
これから先、どれほどの自然災害がやって来るか分からないのに福島を経験した日本が賛成しているのは信じがたい事です。
ロシアは永久凍土の上に原発を持っています。その永久凍土が溶けるかもしれないのです。
これから私たちがしなくてはいけない事
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温室効果ガス排出削減の徹底
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再生可能エネルギー導入の徹底
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カーボンニュートラル(温室効果ガス排出を全体としてゼロにする)の実現のために対策技術に対する開発投資
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得られた技術を世界で共有する
世界でエネルギーを最も多く使っている国のランキング
- 1位 中国
- 2位 アメリカ
- 3位 インド
- 4位 ロシア
- 5位 日本
国土も狭く人口も少ない我が国が、いかに多くのエネルギーを使っているかが分かります。
今年COP28で環境NGOが発表した「化石賞」に又日本が選ばれました。
(「化石賞」とは気候変動に一番消極的な国)
しかも今年で4回連続です。
その理由として化石燃料への公的拠出が世界一だった事。
日本政府は石炭火力発電の輸出などに多大な労力を割いてきた事。
岸田首相がCOP27の首脳級会合を欠席したことも問題視されました。
こんな恥ずかしい事はありません。
日本の問題点
環境問題の解決に欠かせない環境教育は1992年リオデジャネイロの地球サミット以降、国際的に様々な取り組みが進みました。
この流れの中で欧州や一部の発展途上国では質の高い環境教育が実施されドイツやデンマークなどは小さな子どもの頃から自然体験をさせるという取り組みも進み、これが環境問題や自然環境に関する感性を養うことに繋がっています。
しかし日本ではこの問題への関心は極めて低く、気候変動教育の欠如があるといえます。
脱炭素社会の実現のためには問題の深刻さを理解し、変革に取り組むのだという自覚を持たせるような「気候変動教育」の充実が急務です。
子ども達だけでなく、日本の大人達も学ばなければなりません。
もう一つの大きな問題は日本の政治です。
今大きな問題となっている政治資金パーティーの裏金疑惑です。
これに象徴されるように自分たちの利益ばかりを追い求め、本来持っていたであろう世のため人のために政治家になった信念は、どこに行ってしまったのでしょうか?
今や日本の政治は、国民には目を向けず、世界情勢にも目を向けず、票田となる企業にばかりに目を向けている。
地球温暖化に後ろ向きなのは、そうした背景があるとしか思えません。
政治家には目を覚ましてもらいたいです。
日本には素晴らしい能力を持った人が沢山います。
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分解する夢のプラスチックが誕生。
熱に強い酵素を作り出し、ポリ乳酸を分解することが出来た。
(小さくなればなるほど解ける) -
リンナイが開発した水素で燃焼する家庭用給湯器
(2030年頃商品化) -
下水処理で発生するバイオガスからの水素造り商品化
(福岡市 水素ステーション) -
次世代太陽電池 パナソニックHD「発電するガラス」を実証
「ぺロブスカイロ太陽電池」2028年までに参入 -
曲がる太陽電池(ドアやボンネットに貼り付ける)
京都大学ベンチャーとトヨタで開発中 2026年以降 -
地熱発電 スーパー経営から転身 沼田昭二さん(熊本県)
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地熱で作る水素エネルギー 大分県九重町 大林組
地熱発電 → 電気 → 水素
(送電の認可を取るのに7~8年かかるので水素にした) -
23才の科学者村木風海さんが「ひやっしー」という二酸化炭素だけを取り出すマシーンを発明。集めた二酸化炭素を燃料(軽油)にもする
新聞やテレビで見つけたものを挙げただけなので、まだまだ沢山の素晴らしい人達や発明があると思います。
日本は自然に恵まれた国なので、水は豊富にあり、山々は生い茂り、食料にも困りません。
まだ、いつもより暑いとか、自然災害がいつもより多いわね。くらいで今は済んでいますが、地球は悲鳴をあげています。世界のあらゆる所で人々は苦しんでいます。
そして1.5度の壁はすぐそこまで来ています。
このまま手をこまねいていると、日本も大変なことになります。
エネルギー消費国5位の日本こそリーダーシップを取って行くべきだと思います。
正しいことをすれば気温の上昇は止まります。
正しい人々が力を合わせれば、必ず成し遂げられます。
エネルギー革命
エネルギーによって穏やかで安全で公平で健全な世界を作る。
自然の力をエネルギーにすれば世界は変えられます。
世界の国々が自然エネルギーで自立をすれば資源を奪い合うことは無くなります。
貧しい国や地域が自然エネルギーを取り入れれば、井戸を堀り農業を始め病院や学校のある暮らしを作ることが出来ます。
IoT(Internet of Things)、人工知能、電気自動車、水素自動車そして省エネルギーの技術と共に新しい社会を作って行く。
それは原子力発電に象徴される中央集権的な社会とは大きく異なります。
多くの人が知恵と意見の交換に参加する柔軟で心豊かな社会。
情報やサービスや製品の質を高めあう、分散ネットワーク型社会です。
そんなのは理想であって夢ものがたりだと思っていますか?
この夢を実現しなくては私たちの明日はありません。
これまでの経済成長至上主義が地球沸騰化を作ったのです。
木本いず美
PS
湿球温度(湿度70%の場合)
アメリカのペンシルベニア大学の研究結果によると
- 気温31°C → 35°C
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体の内部の体温調節が困難
熱中症や死に至るリスク - 気温35°C → 40°C
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夜中でも気温が40度近くなることがある。夜中に高い気温が繰り返されると身体が持続的な暑さから回復できなくなる。
人間の健康にとって特に危険。
心臓発作や死亡のケースが増加。
昨年の熱波でヨーロッパの6万人余りが死亡。
高温による65才以上の死亡率は今世紀半ばで4.7倍
海面上昇で洪水リスクにさらされる人5.2倍